私たちが「学」ぶべきこと

最近のニュースはこれと酒井法子さんと連絡が取れないことで埋まってますね。

 合成麻薬MDMAを使用したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反(使用)の疑いで警視庁に逮捕された俳優の押尾学容疑者(31)が5日午前、東京地検に送検された。

 麻布署によると、押尾容疑者は2日ごろ、MDMAの錠剤を使用した疑いがある。

 押尾容疑者が出入りしていた東京都港区六本木6丁目のマンションの部屋では2日夜に元飲食店従業員の女性(30)が遺体で見つかった。捜査関係者によると、押尾容疑者はこれまでの調べに「この部屋で女性と2人でいて、一緒に錠剤をのんだ。女性に異変が起きたため救護の措置をとった」という趣旨の話をしているという。押尾容疑者から連絡を受けた関係者が119番通報をしたという。警視庁は女性の死亡の経緯について押尾容疑者からさらに事情を聴くなどして調べている。

 同庁が4日に行った同法違反容疑での家宅捜索は、この部屋とは別の港区内の2部屋と川崎市高津区の自宅マンションの計3カ所が対象になったという。

http://www.asahi.com/national/update/0805/TKY200908050045.html?ref=rss

略してアルファベットにすると国連の組織みたいになる。

MDMA、昔で言うところの「エクスタシー」の使用が問われています。押尾容疑者が実際何をしていたかはぶっちゃけ私にはどうでもいいことです。亡くなった方の身元などもどこかでは明かされるでしょう。それより考えていきたいのは麻薬類とどう付き合っていくかです。

越境できないいるか缶

 さて、最近森巣博さんの「越境者的ニッポン」という新書を読みました。これは非常に刺激が強く、とても参考になる本です。今著者はオーストラリアを中心に博打及び執筆活動をされているそうです。そのオーストラリアの連邦警察がこのような文章を出しているとこの本に書かれています。

ー激しい運動(たとえばダンスとか性行為)をしている場合、毎時間500mlの水分を補給すること。激しい運動をしていない場合、毎時間150mlの水分を補給すること。

オーストラリア連邦警察が2000年に発表した、エクスタシー(MDMA)摂取時における「正しい水分の摂取量」、森巣博『越境者的ニッポン』より

 そう、「MDMAを摂取した際の正しい水分の摂取について」です。オーストラリアでもMDMAは非合法であるそうです。つまり、これは「非合法であるけれども、使用してしまうことはありうるだろうからリスクを最小限にするために正しい知識を提供しよう」という「リスク・ミニマイゼーション」政策なのです。ちなみにMDMAは使用後の水分摂取量が少な過ぎても多すぎても危険だそうです。押尾容疑者の隣で亡くなっていた女性が薬物中毒かどうかは不明ですが、もしこの知識を知っていればと思います。

私は、このような政策は必要と考えます。また非常に現実にそくしているでしょう。しかし、これが日本で可能かといえば現状で望みは薄いです。たとえば、日本で前述のような話を学校の先生が生徒にした場合どうなるでしょう。「麻薬への興味をかきたてる授業」などとしてかなりの確率で問題となるのではないでしょうか。厳重注意ぐらいはされそうです。これは避妊具の使用法を教えるような性教育に対して「セックスへの興味を誘発する」と批判し、教師を排除して純潔教育を奨めることと相似しています。
 日本での麻薬対策といえばダメ、ゼッタイの言葉に代表されるようにとにかく禁止だけを推すわけです。そして、大麻麻薬覚せい剤を使用したりした人には世間的にも法的にも厳しく当たるわけです。「越境者的ニッポン」では厳罰主義と書かれ、代表的な国として日本、韓国、アメリカ、シンガポールが挙げられていました。しかし、その厳罰主義が効いていないのは言うまでもありません。厳罰主義の効果といえば容疑者が社会から消えるので見なくてすむ私たちが現実から逃避し続けられることぐらいでしょうか。しかし、もう逃避している場合ではないのではないでしょうか。