再度、入学拒否問題について

谷口明花さんの件について。
前はStiffmuscle様への意見への賛同でしたが、今度は0から自分の意見を書いてみようと思います。


いきなり話の腰を折るようですが、私は、ぶっちゃけ言うとこのエントリを書いたら、しばらくこの件に関しては静観しようかなと思っています。理由は、「今、明花さんが仮とはいえ学校に通っている」ということです。もちろん、バリアフリー工事は行われていません。介助員はついているそうです。とりあえずこれでやっていけるかどうか、どんな課題があってどうすればいいのかが蓄積されていくと思います。もしかしたら今のままでうまくいくかもしれないですし、明花さんが無理って思うかもしれません。もし今後明花さんが(出来る限りのケアをしたうえでそれでもなお)養護学校への転入を望んだ場合、私は認めるべきと思います。それを親か弁護士が止めようとするなら、私は抗議します。その情報が私に届くとは思えないですが。
そして、明花さんが中学校に通う姿を教育委員会の方にも見てほしいのです。私は今でも控訴は取りやめてほしいですし、最低でも明花さんの姿を見てから判断してほしかったです。なので、

この決定で、明白な断罪を示されたにもかかわらず、明花さんのかけがえのない中学校生活の一日一日の大切さを踏みにじり、己の意地だけのために、このような愚行に出た町長とそれを許した顧問弁護士に、私たち一人一人の思いを、今すぐ届けたいと思います。

という思いは(表現はどうあれ)今も持っています。脊髄反射的な控訴には怒りを覚えます。今、彼女には仮とはいえ「チャンス」が与えられています。できればその機会が奪われないことを願います。

もう少しくだけて言うなら「やってみたら意外とうまくいくんじゃない?」みたいな思いもあります。

以下、各論です。

・もし、在校生が不満を持てばそれに当然耳を傾け、学校関係者、場合によっては明花さんや家族も考えるべきだと思います。ただし、明花さんの排除という対策は出来ません。他の生徒も排除出来ないようにです。(いじめなどで暗黙で排除されていることは別の課題なので今置いておきます。)

・とはいえ、「全く迷惑をかけてはならない」ということはないでしょう。また、明花さんの存在が全く在校生etcに迷惑をかけないとは思いません。ただ、健常者である在校生だって大なり小なり迷惑をかけるわけです。みんなが少しずつ迷惑や苦労をシェアすることで一人に大きな不利益が来ないようにする社会を望みます。もちろん明花さんだって他の人のために我慢しなければいけない点はあるでしょう。ただ、「中学校に行くこと」そのものを我慢する必要はないと思います。それは明花さんにとって大きすぎるからです。

・将来的には公立学校は完全バリアフリー化されるべきだと思います。

・町の水道の話があるようですが、この問題と混ぜるのはおかしいと考えます。財源論はあるにしても、この二つは両立不可能ではないでしょう。予算はもっと幅広いはずです。

・Stiffmuscle様のところにこのような文がありました。

普通学級に通学するのが、物理的に困難な障害児の入学をゴリ押しする親や人のニュースを
見るたびに、以前に見たドキュメンタリーを思い出す。

サリドマイド児の親のドキュメンタリーだったのだが。生まれついて重い障害を負って生まれた
息子の為に、親は「サリドマイド児の親の会」を立ち上げて、休日は全て会の活動。「障害者に理解のある社会=息子の為」との強い信念のもと、息子を連れて積極的にマスコミにも出たり、講演活動も行った。さらに、息子を普通学級に進学させた。息子は重い障害を負いながらも大学に進学。一時は、マスコミにもてはやされた。
が、大学卒業後、障害を負った息子は何処にも就職できなかった。ここで、息子は生まれて初めて本音をぶっちゃける。「子供の頃から、人前でさらし者にされて辛かった」「休みの日くらい、家族だけで過ごしたかった。家族だけで遊園地や旅行に行きたかったのに」「普通学級になんて行きたくなかった。手の無い俺が、普通学級でどれだけ不自由で辛く、孤独だったか。どれだけ、危険で屈辱的(同級生による排泄介護等)な思いをしたか!」と、延々と恨み言を言い出した。
で、親が「何で言ってくれなかったんだ!」と反論したら「言ったが、全て“お前のためだ”で済まされた。
「一度だけ、同じ障害を持つ子供たちがいる養護学校に行きたいと言ったら“負けるな”と説教された」
「俺みたいな障害を持った子供が、親に見捨てられたら生きていけない。だから、言いなりになっていた」
「お前たちは“俺の為”と言っていたが、結局は自分たちが社会から注目されてチヤホヤされたかったダケだろう。養護学校に進学した同じ障害を持った連中は、職業訓練を受けて就職して自立しているのに、親の見栄で、普通学級に進学させられた俺は、就職できなかった」
「俺の障害を受け入れてくれない、見栄っぱりな親のせいで、俺の人生はメチャクチャにさせられた!」

結局、息子さんは親に対する恨みつらみの遺書を残して自殺。最後に親御さんは「もっと息子の気持ちを考えてやれば良かった」「健常児と同じようにする事が、息子の為だと思っていたが、間違いだった」と嘆いていたな。

まずこれが真実かフェイクかわからない(人が死んでいる話なのでフェイクであることを望みます)ですが、この話自体は悲劇でしょう。確かにこの息子さんは養護学校に行かれたほうがよかったようにこの文では見えます。
ただ、これは私の印象論ですし、お子さんに死なれた親御さんに鞭打つのは忍びないですが、問題は「普通学級に行った」ことではなくて、「普通学級にさえいければ何とかなると思った」点ではないかと思います。
また、この例は全員に当て嵌まるわけではないです。つまり一般化はできないでしょう。
もちろん、完全な未来予測は不可能ですから、明花さんに関しても中学校に通ったほうが幸せになれるのかどうかは養護学校に行ったほうがいいのかと同じようにわからないわけです。

・「養護学校をいやがるのは障がい者差別」っていう意見を散見しますが、さすがに批判のために考えただけor釣りですよね?

それにしても、

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/009/toushin/04031903.htm

から5年後のできごとなんですよねぇ…