貧困者のジレンマ

こういうジレンマを考えてみました。

 消費者は、同じものであればより安いものを買ったほうが得である。
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 そのため、多くの人が安いものを求め、より安いものが売れるようになる。
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 しかし、店の立場になると、同じものを安く売れば利益は減る。また物価も下がる。
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 結果として経済は縮小し、労働者でもある消費者の賃金減少や雇用抑制となり、大損をする。

 単純化していますが、これは一種の社会的ジレンマだと思います。このような構図を考えると、私たちは貧困・格差・不景気の被害者であると同時に加害者であることを思いしらされます。この「安いものを買う」傾向は所得が低い人にこそ強く起きるでしょうから。雨宮処凜さんが「100円ショップなしじゃやっていけない」って言っていたことが思い出されます。貧困者は、困窮しているがゆえに貧困を助長してしまうのです。でもそれはその人が悪いのではないわけです。その人は自分にとっての最善を尽くしているわけですから。

参考:http://note.masm.jp/%BC?%F1?%A5%B8%A5%EC%A5%F3%A5%DE/

さて、今回のエントリを書くきっかけとなった非国民通信様の記事(http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/51a5c90c63133dee76c01c82eed0b28d)でも、このような構造の話をしているのだと思います。そしてジレンマの打開策として「値段を下げないための規制」の必要性を提言しています。それはそうなのだろうなぁと思います。実際に値下げ競争は相当厳しいものでしょう。また、このようなジレンマを脱するためには公的な介入が必要だと思います。単なる「もったいない精神」で反論してもダメでしょう。とはいえ、やはり私も感情的には「もったいない」とは思うわけです。また、環境という違う社会的ジレンマ(全員が個々の利益のために環境を省みないと、環境が破壊されてかえって全員に大きな損失が出る)に嵌まる可能性もあります。しかし、環境と経済は合反するものではないはずです(合反するものに見せかけている人はいっぱいいますが)。何かこの2つを同時に達成するブレイクスルーが必要なのでしょうが…。